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自然エネルギー

Natural energy

自然エネルギー

蓄電所

Grid-scale Battery Storage

系統用蓄電所
日本国内の事業規模と概算投資コスト

分野 自然エネルギー対象 投資家・事業パートナー・一般の方

3行でわかる事業概要

  1. 系統用蓄電所は、電力の送配電網に直接つないだ大きな「電気の貯金箱」。安いとき・あまるときにためて、高いとき・足りないときに出す設備です。
  2. 国内の導入見通しは伸びており、2030年に累計でおよそ14〜24GWh、蓄電池ビジネス全体の市場規模はおよそ4,240億円と試算されています。
  3. 費用の目安は1kWhあたりおよそ5.4万円(2024年・補助事業ベース)。たとえば2MWh級なら、設備費でおよそ1億円規模が一つのものさしになります。

01系統用蓄電所とは

送電線・配電線(系統)に直接つないだ、大規模な蓄電池の設備のことです。家庭の屋根に載せる蓄電池とは桁がちがい、街や地域の電気をまとめて出し入れします。

太陽光や風力は、お天気しだいで発電量が増えたり減ったりします。昼に電気があまり、夜に足りなくなる——この時間のズレを吸収するのが蓄電所の役目です。電気を「時間をまたいで運ぶ装置」と考えると分かりやすいかもしれません。

たとえるなら
ダムが水をためて必要なときに流すように、蓄電所は電気をためて必要なときに放ちます。値段の安い時間に仕入れ、高い時間に出す——いわば電気の倉庫です。
A warehouse for electricity.
Fig.1蓄電所のはたらき(時間差で電気を運ぶ)

太陽光があまる 安い・捨てられがち 系統用蓄電所 ためる だす 電気が足りない 高い・需要が集中

安い時間・あまる時間に充電し、高い時間・足りない時間に放電する。これが蓄電所の基本の動きです。

02日本国内の事業規模

国内の系統用蓄電池は、ここ数年で「実証」から「事業」へと段階が移りつつあります。公的資料では、導入量(容量)の見通しがいちばん安定した目安になります。

資源エネルギー庁・経済産業省系の資料によると、系統用蓄電池の導入見通しは2030年に累計でおよそ14.1〜23.8GWh。事業化の進みぐあいで幅があります。金額でみると、矢野経済研究所は蓄電池ビジネス市場が2030年度におよそ4,240億円に育つと試算しています。

Fig.2系統用蓄電池の累計導入見通し(GWh)

24 12 0 現在 ごく一部 2030年 累計見通し 14〜24 事業化が 進めば上側

単位はGWh(ギガワットアワー)。色の濃い部分が堅めの見通し、淡い部分は事業化が進んだ場合の上側。出典:資源エネルギー庁・経済産業省系資料。

世界に目を移すと、IEAはネットゼロの絵姿で、グリッドスケール蓄電が2030年までに約970GW(2022年比でおよそ35倍)まで必要になると示しています。国も2026年6月の蓄電池・電源産業戦略で、国内の製造基盤を150GWh/年規模で確立する方針を掲げており、蓄電池は電力インフラの中核に近づいています。

03概算投資コスト

「いくらかかるのか」は、電池の単価・系統への接続工事・補助制度・案件の進みぐあいで大きく動きます。それでも、ひとつの目安になる数字があります。

三菱総合研究所が補助事業のデータからまとめた系統用蓄電システムの単価は、2024年でおよそ5.4万円/kWh。これをものさしにすると、規模ごとの設備費がざっくり見えてきます。

Fig.3容量と設備費のものさし(およそ5.4万円/kWh)

1MWh =1,000kWh およそ 5,400万円 2MWh =2,000kWh およそ 1億800万円 10MWh =10,000kWh およそ 5億4,000万円

単価×容量の単純計算による目安。実際は接続工事・用地・系統連系保証金・諸経費が上乗せされ、補助金で下がる場合もあります。

設備費の中身は、おおまかに次のような要素に分かれます。割合は案件ごとに変わるため、内訳は「だいたいの並び」とお考えください。

Fig.4費用の内訳イメージ

電池本体(セル) 変換設備 工事・接続 用地ほか 大きい 小さめ

変換設備=PCS(パワーコンディショナ/電気の出し入れを変換する機器)。比率の表現はイメージで、機種・規模・立地で変動します。

04収益の作り方(レベニュースタッキング)

蓄電所は、ひとつの収入源に頼るのではなく、複数の市場から少しずつ収益を積み上げます。これを「レベニュースタッキング(収益の積み上げ)」と呼びます。

01
卸電力市場
JEPXのスポット等。安い時間に買い、高い時間に売る「時間差」の収益。
02
需給調整市場
周波数を保つため、出力をこまめに上げ下げして応える対価。
03
容量の対価
容量市場や長期脱炭素電源オークション。「いざという時に出せる備え」への対価。
04
非化石価値
非化石価値取引市場。環境としての価値を取引する収益。
FITの太陽光とのちがい
固定価格買取(FIT)の太陽光が、利率の決まった定期預金に近いとすれば、蓄電所は市場の値動きで損益が変わる市場運用に近い性質を持ちます。上振れも下振れもあり得る——だからこそ、複数市場への積み上げと制度の後押しが効いてきます。

05制度の後押し

巨額の初期投資を回収できるか——その予見しやすさを高めるための制度が動いています。

代表が長期脱炭素電源オークションです。落札すると、固定費の水準に見合う容量収入を原則20年間にわたって得られるしくみで、蓄電池も対象です。電力広域的運営推進機関(OCCTO)によると、2025年度の応札は全国でおよそ1,085.6万kW、うち落札はおよそ729.9万kW(約67%)。蓄電池・揚水は募集枠を大きく超える応札が続いており、関心の高さがうかがえます。

あわせて、系統用蓄電システムの導入補助も毎年度の予算で続いています(令和7年度はおよそ150億円規模)。こうした制度は内容が見直されることがあるため、最新の公募要領を確認することが欠かせません。

2021令和3〜
系統用蓄電池の導入補助が毎年度の公募に。実証から事業への入口が開く。
2023令和5
長期脱炭素電源オークション開始。蓄電池・揚水も対象に、20年の容量収入で投資の見通しを支える。
2025令和7
応札が活発化。蓄電池・揚水は募集枠を超える応札が続く。
2030見通し
系統用蓄電池の累計導入はおよそ14〜24GWhへ。市場は本格的な拡大局面に。
いま2026
適地の確保、接続の確認、収益設計をていねいに積み上げる段階。
7HG からのひとこと

系統用蓄電所は、再生可能エネルギーが増えるほど価値を持つ設備です。あまる電気を捨てず、足りない時間に届ける——その役目は、地域の電気を支える「関所」のはたらきそのものだと考えています。

数字には幅があり、制度は動きます。だからこそ、容量・接続・収益・出口を一つずつ確かめながら、無理のない事業として組み立てることを大切にしています。本ページは事業の全体像をつかむための入口です。個別の案件については、前提を置いて具体的に検討します。

A gate for electricity — store the surplus, serve the shortage.

出典・注記

  • 資源エネルギー庁・経済産業省「系統用蓄電池の現状と課題」ほか(2030年累計導入見通し 約14.1〜23.8GWh)。
  • 三菱総合研究所/補助事業データ(系統用蓄電システム単価 2024年 約5.4万円/kWh)。
  • 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「長期脱炭素電源オークション約定結果(応札年度2025年度)」(応札 約1,085.6万kW/落札 約729.9万kW)。
  • 矢野経済研究所(蓄電池ビジネス市場 2030年度 約4,240億円の予測)。
  • IEA(ネットゼロシナリオ:グリッドスケール蓄電 2030年 約970GW)/経済産業省「蓄電池・電源産業戦略」(2026年6月)。
本ページの数値はおよその目安であり、調査機関・前提条件により幅があります。費用は機種・規模・立地・接続条件・補助制度で大きく変動します。制度は方針段階の内容を含み、見直される場合があります。本ページは情報提供を目的としたもので、投資の勧誘・助言を行うものではありません。具体的な投資判断は、最新の一次情報をご確認のうえ、専門家にご相談ください。