即時償却減税 重要な点について
「即時償却で節税」、ふたつの制度はどう違う?
中小企業経営強化税制 と 大胆な投資促進税制
3行でわかる
- どちらも、設備投資の代金を買った年に一気に経費にできる(即時償却)、または税金から直接差し引ける(税額控除)節税制度です。
- 違いは「規模感」。少額〜数億円の設備なら中小企業経営強化税制、5億円以上の大型投資なら令和8年新設の大胆な投資促進税制が狙い目です。
- 新制度は建物本体まで対象になるのが目玉。ただし「ROI15%以上」「取得前に経産大臣の確認」など、ハードルも高めです。
01そもそも「即時償却」の何がうれしいの?
設備を買うと、ふつうはその代金を何年もかけて少しずつ経費にしていきます(これが減価償却)。即時償却は、その代金を買った年に全額まとめて経費にできる仕組みです。
もう一つの選び方が税額控除です。これは経費ではなく、計算された税金そのものから一定割合を直接マイナスします。「いま大きく節税したい」なら即時償却、「トータルで税金を軽くしたい」なら税額控除、と目的で選びます。今回くらべる2つの制度は、どちらもこの「即時償却 or 税額控除」の選択ができる点で共通しています。
022つの制度を一言で
中小企業経営強化税制は、中小企業が機械やソフトなどを導入したときの“定番”の節税制度。平成29年から続く、使い慣れた制度です。一方の大胆な投資促進税制(正式名称:特定生産性向上設備等投資促進税制)は、令和8年度(2026年度)に新しくできた大型投資むけの制度。「日本国内で、稼ぐ力のある大規模投資をしてほしい」という政府のねらいから生まれました。
03ざっくり比較
いちばん知りたい「どこがどう違うか」を一覧にしました。規模・対象・収益要件・建物の扱いに大きな差があります。
| 中小企業経営強化税制 | 大胆な投資促進税制(新設) | |
|---|---|---|
| 対象企業 | 中小企業者等が中心 | 全業種・大企業も中小も対象 |
| 投資の規模 | 設備ごとの少額基準(数十万円〜) | 合計5億円以上(大企業は35億円以上) |
| 収益の要件 | B類型でROIおおむね5%以上 | ROI 年平均15%以上の見込み |
| 建物“本体” | 対象外(建物附属設備のみ) | 建物本体も対象 |
| 税のメリット | 即時償却 / 税額控除 7〜10% | 即時償却 / 税額控除 7%(建物等は4%) |
| 認定する人 | 経営力向上計画(主務大臣) | 経済産業大臣の確認 |
| 申請のタイミング | 原則は取得前(取得後60日以内の例外あり) | 必ず取得「前」に確認(事後申請は不可) |
※ 税額控除率や要件は資本金規模・類型・年度によって変わります。新制度の細部は今後の政省令で確定する部分があります。
04いちばんの違いは「規模感」
両制度の関係は、ライバルというより守備範囲の違いです。下の図のように、投資金額の大きさで“出番”が分かれます。
Fig.1投資金額でみる、2制度の守備範囲(イメージ)
05新制度の目玉は「建物まで対象」
大胆な投資促進税制でいちばん注目されているのが、建物“本体”まで即時償却・税額控除の対象になる点です。従来の中小企業経営強化税制では、対象は機械・工具・器具備品・建物附属設備(電気設備や空調など)まで。建物そのものは入っていませんでした。
| 区分 | 中小企業経営強化税制 | 大胆な投資促進税制 |
|---|---|---|
| 機械・装置 | 対象 | 対象 |
| 建物附属設備 | 対象 | 対象(税額控除は4%) |
| 建物本体・構築物 | 対象外 | 対象(税額控除は4%) |
工場棟や大規模な施設をまるごと新設するような投資では、この差が効いてきます。ただし建物・建物附属設備・構築物を税額控除で使う場合の控除率は4%(機械等は7%)と低めに設定されている点には注意が必要です。
06申請の流れと「順番」の落とし穴
どちらの制度も「先に手続き、あとから取得」が原則です。とくに新制度は順番にきびしく、買ってからでは間に合いません。
中小企業経営強化税制には「取得後60日以内に計画が受理されれば年度内認定でOK」という例外がありますが、大胆な投資促進税制は必ず取得前に確認が必要で、事後申請は認められません。スケジュール設計の難易度はこちらが高めです。
07いつまで使える? ―これまでの流れ
大胆な投資促進税制は「集中投資期間」として令和11年3月末までの確認が区切りです。中小企業経営強化税制は令和10年3月末までが現時点の適用期限です。
08結局、どっちを選ぶ?
大まかな選び方はこうです。日常的な設備更新や数千万〜数億円規模の投資なら、使い慣れた中小企業経営強化税制。5億円以上で、建物を含む大型かつ高収益(ROI15%以上)が見込める勝負どころの投資なら、大胆な投資促進税制が候補になります。
ただし両制度は同じ設備で重ねて使うことはできません。投資の規模・中身・収益見通し・スケジュールを並べて、どちらが有利かを早い段階で見極めることが大切です。とくに新制度は「取得前の確認」が絶対条件なので、計画段階からの逆算が欠かせません。
私たちが手がける系統用蓄電所や大規模太陽光は、まさに「数億円〜の設備投資」の世界です。だからこそ、どの税制をどう組み合わせるかで、プロジェクトの回収スピードは大きく変わります。
セブンヒルズゲートは、再エネ案件を「設備」だけでなく「制度・資金・回収」までひとつながりで設計します。新しい税制も、煽りの材料ではなく“前提条件”として冷静に読み解き、無理のない投資のかたちをご一緒に考えます。設備投資や案件のご相談は、お気軽にどうぞ。
出典・参考
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」「同・概要」(2025年12月)
- 経済産業省「大胆な投資促進税制(特定生産性向上設備等投資促進税制)について(周知資料)」
- 中小企業庁「中小企業経営強化税制」関連ページ/「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き(令和8年度税制改正対応版)」
- 国税庁 タックスアンサー No.5434「中小企業経営強化税制」



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