畜産業における廃棄物の有効活用
牛・豚・鶏を育てれば、ふん尿は必ず生まれる。日本ではその量が年間およそ8,000万トン。これは「処理に困るごみ」であると同時に、電気にも、熱にも、土に還る肥料にもなる資源でもある。畜産業における廃棄物の有効活用とは、この資源を地域の外へ捨てずに、地域の中でもう一度はたらかせる設計のことを指す。
3行でわかる事業概要
- 家畜のふん尿は年間およそ8,000万トン。その大半は堆肥として農地に還っているが、エネルギーとして使われているのは5%あまりにとどまる。
- 「メタン発酵」という方法を使うと、同じふん尿から電気・熱と肥料(消化液)を同時に取り出せる。
- 7HGは、適地の見極めから収支設計・資金組成・地域連携までを一つの関所として束ね、捨てられていた資源を地域の収益に変える。
01「資源」としての家畜排せつ物
家畜排せつ物は、適切に扱わなければ悪臭や水質汚濁の原因になる。だからこそ法律でも管理の方法が定められている。
日本全体で1年に生まれる家畜のふん尿は、およそ8,000万トン(令和7年でおよそ7,800万トン)と推計されている。1999年に制定された家畜排せつ物法は、野積みや素掘りといった不適切な管理を禁じ、堆肥化や液肥化など、土に還せる形での管理を求めている。
さらに、ふん尿が出すメタンは二酸化炭素よりも温室効果の強いガスでもある。放っておけば大気へ逃げるこのガスを捕まえて燃料に変えることは、においと温室効果ガスの両方を同時に抑えることにつながる。
現状(令和6年)では、発生量の81.3%が堆肥などとして農業に使われ、エネルギーとして使われているのは5.5%にとどまる。ここに、まだ手のついていない大きな伸びしろがある。
家畜のふん尿は、いわば「水分をたっぷり含んだ宝の山」。そのまま積めばにおいの種だが、密閉して微生物に分解させれば、燃えるガスと栄養豊富な液体に分かれる。ごみと資源を分けるのは、置き場所ではなく扱い方である。
02メタン発酵というみち
水分の多いふん尿は、そのままでは燃やしにくい。かわりに使うのが「メタン発酵」という生き物の力である。
メタン発酵(嫌気性発酵)は、酸素のない密閉タンクの中で微生物にふん尿を分解させ、メタンを主成分とするバイオガスを取り出す方法。牛の胃の中で起きていることを、屋外のタンクで再現するイメージに近い。発酵を終えたあとに残る液体は消化液と呼ばれ、窒素・リンなどの養分を含む肥料になる。
つまり一つのタンクから、燃えるガスと、土に還る肥料という二つの出口が生まれる。水分が多くて燃やせない、というふん尿の弱点が、ここではむしろ長所になる。
03二つの出口 — エネルギーと肥料
取り出したバイオガスと消化液は、地域の中でそれぞれ別の役割を担う。
バイオガスは発電機を回して電気にし、同時に出る熱も使える。生まれた電気は、固定価格買取制度(FIT/FIP)で売ることも、牧場や近隣施設で自分たちが使うこともできる。メタン発酵ガス(バイオマス由来)の買取価格は、2025年度でおよそ35円/kWh、買取期間は20年に設定されている。
一方、消化液は化学肥料の代わりに田畑へまける。買って運んでいた肥料を地域の中でまかなえれば、その分のお金は地域に残る。電気・熱・肥料という三つの価値を一つの設備から取り出すことが、畜産廃棄物の有効活用の核心にある。
| ルート | 取り出せるもの | 主な効果・収入 | 向いている条件 |
|---|---|---|---|
| 堆肥化 | 肥料(堆肥) | 土づくり・購入肥料の削減 | 散布できる農地が近い |
| メタン発酵 本ページの主役 |
電気・熱 + 肥料(消化液) | 売電・自家消費 + 肥料 | まとまった頭数・熱や消化液の使い道がある |
| 焼却・固形燃料化 | 熱・燃料 | 減容・燃料化 | 乾燥した鶏ふん等 |
047HGの関わり方
設備を建てれば終わり、ではない。資源が地域の中で回り続けてはじめて、有効活用と呼べる。
7HGは、再生可能エネルギーの開発で培った事業組成の経験を、畜産廃棄物の分野に持ち込む。畜産事業者・自治体・技術パートナー・金融機関のあいだに立ち、ふん尿という資源が電気・熱・肥料として地域に戻るまでの道筋を一本につなぐ。
ふん尿は、扱い方ひとつで「処理費のかかるごみ」にも「地域の収益源」にもなる。捨てる場所を探すのではなく、もう一度はたらく場所をつくる——畜産業における廃棄物の有効活用を、7HGはそうとらえている。
一つの牧場の困りごとを、地域のエネルギーと土の豊かさに変える。その入口に立つ関所でありたい。
What a farm discards, a region can keep.
出典・注記
- 農林水産省「家畜排せつ物の発生と管理の状況」および畜産局資料(発生量・処理内訳)。
- 資源エネルギー庁「FIT・FIP制度 買取価格・期間等」(メタン発酵ガス〈バイオマス由来〉の調達価格・期間)。


