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地方創生

地域に新たな産業を設計開発

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耕作放棄地 荒廃農地

Abandoned & Devastated Farmland

耕作放棄地・荒廃農地の可能性と課題、そして民間投融資の道

区分 地方創生 × 自然エネルギー対象 全国の荒廃農地・遊休農地

3行でわかる事業内容

  1. 全国の荒廃農地はおよそ25.7万ha。そのうち、手を入れれば作物が育つ「再生できる土地」はおよそ9.4万ha(37%)残っている。
  2. 荒れた農地は、農地のまま発電と営農を両立させる「営農型太陽光」や蓄電所など、エネルギーと食料の両面で活かす道が開きはじめている。
  3. 農地バンク・地域計画・固定価格の買取制度がそろい、民間の出資・融資が農地に流れ込む経路が制度として整いつつある。課題は規制・採算・担い手の三つに集約される。

01いま、農地に起きていること

日本の農地は、毎年少しずつ減っている。作り手の高齢化と担い手不足が重なり、耕されない土地が静かに広がっている。

農林水産省の調べでは、令和6(2024)年の農地面積はおよそ427万haで、前年よりおよそ2.5万ha減った。耕した土地のうち実際に作付けされている割合(耕地利用率)も、ここ数年は91%前後にとどまる。

そして、耕されなくなって荒れてしまった「荒廃農地」は、2024年3月末でおよそ25.7万ha。このうち、抜根・整地などで再び耕せる見込みの土地(再生利用可能)はおよそ9.4万ha、森林化が進むなどして農地に戻すのが難しい土地はおよそ16.3万haと見られている。

Fig.1荒廃農地およそ25.7万haの内訳(2024年3月末・概数)

荒廃農地 = およそ 25.7 万 ha 再生できる 戻すのが難しい 9.4万ha・37% 16.3万ha・63% = 同じ「荒れた土地」でも、手の入れやすさはまったく違う

出典:農林水産省「荒廃農地の発生・解消状況に関する調査」等をもとに概数で作図。「再生できる土地」が全体のおよそ4割にとどまる点が、活用を考えるうえでの出発点になる。
言葉の整理
似た言葉が混ざりやすいので、先に分けておく。
荒廃農地=耕されず荒れて、いまは作物を作れない農地(市町村が現地で確認)。
耕作放棄地=かつて農林業センサスで使われた言葉で「1年以上作らず、当面作る予定もない」農地(2020年の調査から項目は廃止)。
遊休農地=農地法上の区分で、使われていない・十分に活かされていない農地。
本ページでは、現在の行政用語に合わせ、原則「荒廃農地」で統一する。

02なぜ、農地は荒れるのか

理由は「人」と「土地」の二つに大きく分けられる。どちらか一方だけを直しても、荒廃は止まらない。

人の側では、作り手の高齢化・病気・離農、それを継ぐ後継者や働き手の不足が中心。土地の側では、山あいや谷あいの小さく不整形な田畑、傾斜地、鳥獣害といった、もともと耕しにくい条件が重なる。とくに中山間地域でこの組み合わせが強く出る。

a
担い手がいない
高齢化・死亡・離農。継ぐ人も雇う人も足りない。
b
条件が不利
小さい・傾いている・不整形。機械が入りにくい。
c
採算が合わない
作っても赤字になりやすく、貸し手も借り手も動かない。
d
所有が分からない
不在地主・相続未登記で、誰と話せばよいか不明。

この四つが連鎖すると、「貸したいのに借り手がいない/買いたいのに相手が分からない」という、市場のミスマッチが固定化する。

03荒れた農地に、どんな可能性があるか

荒廃農地は「使えなくなった土地」ではなく、「使い方を選び直せる土地」でもある。エネルギー・食料・地域の三つの軸で価値が眠っている。

01
営農型太陽光
支柱を立て、上で発電・下で営農。農地を農地のまま活かす。
02
系統用蓄電所
条件の合う土地では、電気を貯めて流す蓄電設備の用地に。
03
食料の再生産
基盤整備と集約で、再び作物を作れる土地へ戻す。
04
地域の仕事
維持管理・施工・営農が地域に雇用と現金収入を生む。

とくに営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)は、荒廃農地の活用と相性がよい。農地に簡単に外せる支柱を立て、その上の空間で発電しながら、下の畑で営農を続ける仕組みだ。土地を「発電所」に変えてしまうのではなく、農地として残したまま、太陽の光を二度使う。発電収入が、条件の悪い農地でも営農を続けるための支えになりうる。

たとえるなら
更地に太陽光を敷くのは、畑をやめて駐車場にするのに近い。営農型太陽光は、畑の上に屋根をかけ、屋根で電気を作りながら、下で野菜を育て続けるイメージ。土地の役目を一つに絞らず、二階建てにする発想に近い。

04制度の現在地 — 緩んだところ、締まったところ

荒廃農地の活用は、規制が「緩む方向」と「締まる方向」の両方で動いている。両方を読まないと、計画は途中で止まる。

緩んだ側では、荒廃農地で営農型太陽光を行う場合、これまで求められていた「周辺の8割以上の収穫量」要件が課されなくなった(再生利用のケース)。農山漁村再エネ法による農地転用の特例も、対象となる荒廃農地の要件が緩められている。

一方で締まった側もある。発電を優先して下の畑がおろそかになる事例が問題視され、令和6(2024)年4月から、営農型太陽光の一時転用の許可基準が法令とガイドラインで明文化された。営農がきちんと続いているかの定期報告や、違反事業者の公表の仕組みも整えられた。「農地のまま」という前提を外せば、許可は下りない。

Tab.1荒廃農地を活用するときの主な論点
論点 方向 内容(概要)
収穫量の要件 緩和 荒廃農地の再生利用では「周辺の8割以上」の単収要件を課さない運用に。
農地転用の特例 緩和 農山漁村再エネ法の対象となる荒廃農地の要件が緩められた。
一時転用の許可基準 明確化 令和6年4月、許可基準を法令・ガイドラインに明記。営農の継続が前提。
営農の継続確認 強化 定期報告・違反時の原状回復命令・事業者公表の仕組みを法定化。
農地の貸借 一本化 令和7年4月から、農地の貸し借りは原則として農地バンク経由に。

05民間投融資の可能性

荒廃農地に民間のお金が入るには、「土地」「事業」「資金」の三つの層が噛み合う必要がある。どれか一つが欠けても、投融資は成立しない。

Fig.2荒廃農地に民間資金が入る三つの層

① 土地の層 農地バンク・地域計画で、誰の土地を・誰が・何に使うかを束ねる ② 事業の層 営農型太陽光・蓄電・営農+固定価格の買取で、収入の見通しを立てる ③ 資金の層 出資(エクイティ)・融資(デット)・売買で、資金を入れ、回収する ▼ かみ合うと投融資が動く ▼

「土地が束ねられ → 事業で収入が見通せ → 資金が回収できる」。この三段が一本につながったときに、はじめて民間のお金が荒廃農地まで届く。7HG はこの三層をつなぐ役を担う。

土地の層では、令和7(2025)年から農地の貸借が原則農地バンクに一本化され、地域での話し合い(地域計画)で「どの土地を誰が使うか」を一筆ごとに決める流れができた。ばらばらだった土地が束ねられるほど、まとまった事業として資金を呼び込みやすくなる。

事業の層では、固定価格・固定期間で電気を買い取る制度(FIT/FIP)が、発電からの収入見通しを支える。蓄電所であれば、市場で電気を売買して稼ぐ仕組みが加わる。資金の層では、性格の異なる三種類のお金が入りうる。

Tab.2荒廃農地まわりに入りうる民間資金の三つの性格
資金の種類 入れる人 見るもの/リスクの所在
出資(エクイティ) 事業者・投資家・ファンド 事業の上振れ・下振れを取りに行く。利回りは高くも低くもなりうる。
融資(デット) 金融機関 毎年の返済が回るか(キャッシュフローの安定)。担保・許認可・契約を重視。
売買(セカンダリ) 取得者・売却者 すでに動いている設備や権利を、価格を付けて受け渡す。

ただし、可能性の裏には課題が並ぶ。許認可(農地転用・一時転用・系統連系)、営農継続の義務(怠れば許可が取り消されうる)、立地の不利(小さく傾いた中山間地は工事費がかさむ)、そして出力制御や系統の空きといった電気側の制約。これらは、土地ごとに精査しなければ見えてこない。荒廃農地への投融資は、「利回りの数字」だけでなく、「その土地で本当に許可が下り、営農が続き、電気が流せるか」を一つずつ確かめる作業の上に成り立つ。

067HG の立ち位置 — 関所として

7HG は、荒廃農地を「片づける対象」ではなく、土地・事業・資金が行き交う関所(ゲート)として見る。通すべきものを通し、通してはいけないものは止める。

具体的には、地域・地権者と、発電や営農の事業と、出資・融資・売買の資金とを突き合わせ、その土地で成立する組み合わせを探す。固定価格の買取制度の読み解き、農地転用と一時転用の手続き、系統連系の見通し、営農計画の現実性まで含めて、一筆ごとに採算と適法性を確かめる。数字が合わない土地に無理に資金を流すことはしない。それが、地域にも投資家にも誠実な関所のあり方だと考える。

2013平成25
営農型太陽光、通知で運用開始。農地に支柱を立てて発電する道が開く。
2021令和3
荒廃農地の単収要件を緩和。再生利用なら「8割収穫」を課さない方針に。
2023令和5
地域計画が法定化。改正基盤法で「誰が農地を使うか」を地図に落とす仕組みへ。
2024令和6
営農型太陽光の許可基準を明文化。食料・農業・農村基本法も改正。
2025令和7
農地の貸借を農地バンクに原則一本化。土地を束ねる経路が整う。
いまこれから
緩和と規律の両面を読みながら、土地・事業・資金をつなぐ実務を地域とともに積み上げていく段階。
7HG からのひとこと

荒れた農地は、もう何も生まない土地に見えるかもしれません。けれど、手の入れ方と資金の入れ方を選び直せば、電気を生み、作物を生み、地域に仕事を生む土地に戻りうる。すべての土地が、というわけではありません。だからこそ、一筆ずつ向き合う関所が要ると考えています。

誰一人取り残さない。私たちが見ているのは、土地そのものより、その土地で暮らす人の次の一年です。

Seven hills. Seven continents. One gate at a time.

出典・注記

  • 農林水産省「食料・農業・農村白書(令和6年度)」第2章 農地の確保と有効利用。
  • 農林水産省「荒廃農地の発生・解消状況に関する調査」(2024年3月末時点の概数)。
  • 農林水産省「再生可能エネルギー発電設備を設置するための農地転用許可」「営農型太陽光発電」関連資料(令和6年4月施行)。
  • 農林水産省「農地中間管理機構(農地バンク)」制度資料、改正農業経営基盤強化促進法(令和5年4月施行)。
  • 経済産業省・再生可能エネルギーに関するタスクフォース/規制改革推進会議の公表資料。
本ページは、公表資料をもとに荒廃農地と民間投融資の一般的な可能性・課題を解説したものであり、特定の投資・事業・税務・法務上の助言ではありません。数値は概数で、調査時点・集計方法により異なります。制度は改正されることがあり、最新の取り扱いは各府省・自治体・農業委員会の公式情報をご確認ください。実際の案件は、立地・許認可・系統・営農条件により成立可否と採算が大きく変わります。