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サーキュラーエコノミー

CIRCULAR ECONOMY

サーキュラーエコノミー

農業にける廃棄物の有効活用

株式会社セブンヒルズゲート 農業における廃棄物の有効活用
From Waste to Resource

農業における廃棄物の有効活用
——「捨てる」を「活かす」に変える

領域 サーキュラーエコノミー(農業)想定読了 約7分対象 はじめての方/事業者・投資家

3行でわかる事業概要

  1. 農業の現場からは、稲わら・もみ殻・規格外作物・食品くずなど、大量の「使われていない有機物」が毎年生まれている。野焼き(野外焼却)は法律で原則禁止のため、放っておくと処分費がかかる「コスト」になる。
  2. これらは、見方を変えれば飼料・肥料・エネルギー・素材になる資源。価値の高い使い道から順に取り出す「カスケード利用」で、同じ一つの廃棄物から何度も価値を引き出せる。
  3. サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは、「とって・つくって・捨てる」直線を、輪に変える考え方。農業廃棄物を地域で回す仕組みは、処分費の削減・新たな収入・地域の自立につながる。

01そもそも「サーキュラーエコノミー」とは

難しい言葉に聞こえますが、中身はシンプルです。「捨てる」で終わらせず、もう一度使えるように回す——それだけです。

これまでの経済は、地面から資源を採取し、製品を生産し、使って廃棄する、という一方通行でした。これを直線型(リニア)経済と呼びます。出口が「ごみ」しかないので、資源は減り、処分の負担は増え続けます。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)は、この一方通行をにします。使い終わったものを回収し、別の用途に作り変えて、もう一度経済の中へ戻す。捨てていたものが、次の入口になります。

Fig.1直線型と循環型——出口がちがう

従来:直線型(つくって捨てる) 採取(原料をとる) 生産・消費 排出(残る) 廃棄 × 行き止まり 循環型:資源を回す 生産 利用 回収 再生 資源を 回す

直線型は出口が「廃棄」だけ。循環型は廃棄の手前で回収して再生し、入口に戻す。農業廃棄物の活用は、この「輪」をつくる取り組み。

02農業の「廃棄物」は、じつは資源

田んぼや畑からは、毎年とても大きな量の有機物が出ます。代表的なものを挙げると——

稲わら(稲の茎や葉)は国内でおよそ年920万トンもみ殻(玄米を包む殻)はおよそ年200万トン発生するとされます。さらに、形が悪い・傷があるといった理由で出荷されない規格外作物や、加工・流通・家庭で食べられずに捨てられる食品ロスもあります。食品ロスは令和5年度でおよそ464万トンと推計されています。

Fig.2農業まわりで生まれる有機物の量(年間・概数)

稲わら 約920万トン 食品ロス 約464万トン もみ殻 約200万トン

数字はいずれも概数。食品ロスは令和5年度の国推計。これに畜産分野の家畜排せつ物(年およそ8,000万トン=東京ドーム約75杯分)まで含めると、農畜産業は国内最大級の「未利用資源」の宝庫といえる。

これだけの量が、これまで「邪魔なもの」「お金を払って捨てるもの」として扱われてきました。とくに野焼き(野外での焼却)は、煙やにおいの問題から廃棄物処理法で原則禁止されており、安易に燃やすこともできません。

たとえ話
廃棄物は、たとえるなら「中身の入ったまま捨てられる弁当箱」。箱(処分の手間)にばかり目が行きますが、中にはまだ食べられるおかず(栄養・エネルギー・素材)が残っています。サーキュラーエコノミーは、その中身を取り出してから箱をたたむ発想です。

03価値を捨てない「カスケード利用」

同じ廃棄物でも、使い道によって引き出せる価値の大きさは変わります。そこで大切なのが「カスケード利用」という考え方です。

カスケード(cascade)とは「段々の滝」のこと。価値の高い使い道から順に取り出し、そこで使い切れなかった分を一段下が受け取る——という流れをつくります。一気にエネルギーとして燃やしてしまうのではなく、まず食べられるものは食べ、無理なら飼料に、それも無理なら肥料に、最後にエネルギーや炭に。こうすると、一つの資源から何段にもわたって価値を引き出せます。

Fig.3価値のカスケード——上の段から使い切る

食品・素材へ再利用 飼料(エコフィード) 肥料・堆肥(土へ還す) エネルギー(発電・熱) 炭素貯留(バイオ炭) 価値:高 → 低

上の段で使い切れなかった分だけを、下の段が受け取る。「いきなり燃やす」より、段階を踏むほうが地域に残る価値は大きくなる。

04主な「出口」——5つの活かし方

農業廃棄物を活かすルートは、大きく次の5つに整理できます。

01
飼料化
規格外野菜や食品くずを家畜のエサに(エコフィード)。輸入飼料の代わりになる。
02
堆肥・肥料化
稲わら・もみ殻・残渣を発酵させ、土に栄養を戻す。最も身近な循環。
03
エネルギー化
メタン発酵でバイオガスをつくり、発電・熱に。残った消化液は液肥に。
04
炭・素材化
もみ殻くん炭やバイオ炭、もみ殻のシリカ(珪酸)など、素材として活用。
05
マテリアル
バイオプラスチック原料やきのこ培地など、新しい用途も広がりつつある。

中でも、地域で資源を回す象徴的な仕組みがメタン発酵(嫌気性消化)です。残渣や家畜のふん尿を、酸素のない密閉タンクで微生物に分解させると、燃えるガス(バイオガス)が出ます。これで発電・熱利用ができ、分解後に残る液体(消化液)は、栄養豊富な液肥として畑へ戻せます。一つの設備でエネルギーと肥料の両方が取れる点が特徴です。

Fig.4メタン発酵——エネルギーと肥料が同時に取れる輪

残渣・ふん尿食品くず 発酵槽(メタン発酵) バイオガス→ 電気・熱 消化液(液肥) 農地・作物へ還元 次の作付けへ(ループ)

入れるのは残渣やふん尿、出てくるのはエネルギーと液肥。畑に戻った養分が次の作物を育て、また残渣が生まれる——という輪が閉じる。

05「コスト」が「収入」に変わる

サーキュラーエコノミーは、環境にやさしいだけの話ではありません。お金の流れが反対向きになるのが要点です。

これまで廃棄物は、処分費を「払う」対象でした。これを資源として回すと、(1) 処分費がそのまま減る、(2) 売電収入・堆肥や飼料の販売など新しい収入が生まれる、(3) 化学肥料や輸入飼料の購入を抑えられる、という三方向の効果が出ます。出ていくお金が減り、入ってくるお金が増える。これが循環の経済的な意味です。

区分の見方
下の表は、活かし方ごとに「主に何になるか」を整理したもの。エネルギー=電気・熱・ガス、マテリアル=肥料・飼料・素材。どちらが正解という話ではなく、地域の資源量と需要に合わせて組み合わせるのが現実的。
Tab.1主な農業廃棄物と活かし方
資源 主な使い道 区分
稲わら すき込みで土に還す/堆肥・敷料/粗飼料 マテリアル
もみ殻 くん炭・暗渠資材/培地/シリカ等の素材 マテリアル
規格外作物・残渣 飼料化(エコフィード)/堆肥化 マテリアル
食品くず・ふん尿 メタン発酵 → バイオガス発電+液肥 エネルギー
剪定枝・木質分 チップ・ペレット化 → 熱・発電/バイオ炭 エネルギー

06制度のうごき

国の政策も、廃棄物を「処理する」から「資源として活かす」方向へ進んできました。主な流れを並べると——

2009平成21
バイオマス活用推進基本法。家畜排せつ物・食品廃棄物・林地残材などを国の資源として位置づけ、活用を後押し。
2019令和元
食品ロス削減推進法が施行。事業系・家庭系の削減目標を掲げ、捨てる前に減らす・活かす流れを強める。
2021令和3
みどりの食料システム戦略。農林漁業を核とした循環経済(サーキュラーエコノミー)の先導地域づくりを掲げる。
2023〜令和5〜
事業系食品ロスが目標を前倒し達成。食品ロスは令和5年度に約464万トンと、推計開始以来の最少水準に。
いま現在地
「どう処分するか」から「どの地域で、どう回すか」へ。資源量・需要・物流をつなぐ設計が問われる段階。

※ここで触れた目標値や制度は方針・推計の段階を含み、今後見直されることがあります。最新の数値は各省庁の公表資料をご確認ください。

7HG からのひとこと

私たちは、ものの流れには必ず「分かれ目」があると考えています。捨てるか、活かすか。その分かれ目に立つのが、関所(ゲート)の役割です。

農業の廃棄物は、関所の手前では「処分すべき荷物」に見えます。けれど関所をくぐらせ、価値の高い順に荷をほどいていけば、飼料になり、肥料になり、エネルギーになり、最後は土に還ります。Re:design(流れを描き直す)から、Re:born(資源として生まれ直す)へ。一つの地域の中で、その輪を閉じる設計を、私たちは事業として担います。

From waste to resource — close the loop, one field at a time.

出典・注記

  • 農林水産省「バイオマスの活用の推進」「バイオマス事業化戦略」。
  • 農林水産省「家畜排せつ物の発生と管理の状況」(年間発生量・バイオマス資源量の概数)。
  • 農林水産省・環境省・消費者庁「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和5年度)」、消費者庁「食品ロス削減関係参考資料(令和7年6月版)」。
  • 農林水産省・各自治体資料(稲わら・もみ殻の発生量および利用方法、すき込み・くん炭等)。
  • 環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(野外焼却の原則禁止)、農林水産省「みどりの食料システム戦略」。
本記事は一般的な情報提供を目的とした概説であり、特定の事業・投資の成果や採算を保証するものではありません。記載の数値は概数・推計値を含み、公表時点により変動します。制度・目標値は方針段階のものを含み、実施にあたっては最新の一次情報および専門家への確認をお願いいたします。