水産業における廃棄物の有効活用
3行でわかる事業概要
- 海の現場では、水揚げから加工・流通・消費まで各段階で魚アラ・未利用魚・貝殻などの残渣が出る。家庭分を除いても、ある推計では年間およそ380万トン規模とされる。
- その多くは魚粉・魚油・コラーゲン・カルシウム・キチンキトサン・バイオガスなどに再資源化できる。一方で、飼料・肥料に回っているのはおおむね3割程度との指摘もある。
- 7HGは、出す側と活かす側の間に立つ「関所」として、捨てる手前で止め、価値が地域の中をめぐる循環を設計する。
01「捨てる」で終わらせない
これまでの流れは「獲って・使って・捨てる」の一本道だった。残渣を資源として戻せば、その道は輪になる。これがサーキュラーエコノミー(循環経済)の考え方である。
魚アラは、料理の途中で出た「だしの素」に近い。骨や頭からは、まだ旨味も油も栄養も引ける。捨てれば処理費がかかるだけだが、ひと手間かければ飼料・肥料・健康食品の原料に変わる。違いは、捨てる前に止める仕組みがあるかどうかだけである。
02いま、どれだけ活かしきれていないか
水産物が食卓に届くまでの各段階で、頭・骨・内臓などの残渣が出る。その量は、家庭から出る分を除いても相当な規模になる。
さらに、漁獲はされても市場に値がつきにくい未利用魚・低利用魚、貝殻やえび・かにの殻といった硬い残渣も、行き先が決まらなければ廃棄に回る。養殖飼料の主原料である魚粉は世界的に価格が上下しやすく、近年は高止まりの局面もみられる。つまり「海の残り物」は、コストであると同時に、取り合いの起きうる資源でもある。
03海から出るものは、ぜんぶ原料になる
残渣の再資源化は特別な技術ではなく、すでに各地で動いている。一つの種類の残渣から、複数の行き先が生まれる。
もっとも一般的なのはフィッシュミール(魚粉)と魚油への加工だ。魚アラを加熱し、圧搾して固形分と液体に分け、乾燥・粉砕すれば魚粉に、分離した油が魚油になる。下の図は、その基本的な流れである。
下表は、残渣の種類ごとの主な行き先をまとめたものである。すでに広く確立した経路と、これから伸ばせる余地のある経路がある。
| 残渣(原料) | 主な再資源化先 | 用途・行き先 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 魚アラ(頭・骨・内臓) | 魚粉・魚油 | 養殖/家畜の飼料、農業肥料、健康食品・工業用油脂 | 確立 |
| 皮・骨 | コラーゲン・ゼラチン・カルシウム | 食品・化粧品・サプリメント | 確立 |
| 未利用魚・低利用魚 | 食用加工・すり身・だし | 新たな食材・加工品としての再流通 | 拡大余地 |
| えび・かにの殻 | キチン・キトサン | 食品・農業資材・医療素材 | 拡大余地 |
| 貝殻(牡蠣・帆立ほか) | 炭酸カルシウム資材 | 土壌改良材・飼料用カルシウム・建材 | 拡大余地 |
| 有機残渣全般 | バイオガス(メタン発酵) | 発電・熱、消化液は液肥に | 拡大余地 |
| (対策をとらない場合) | 単純焼却・埋立 | 処理コスト・CO₂・最終処分場の逼迫 | 避けたい |
047HGの役割:つなぐ「関所」
残渣が活かしきれない理由の多くは、技術ではなく「つながっていないこと」にある。出す側と活かす側がうまくかみ合わない。7HGは、その間に立つ関所として両者を結ぶ。
具体的には、次の四つの段階で間を結ぶ。
資金と仕組みの面では、関係する事業基盤——ESG投資基盤整備機構(ESG-IIDA)や地域共生圏創造協議会(CCRSS)——と連携し、地域に根を張る循環として続けられる形を探る。
05海から、地域へ還す
残渣を資源に変える意味は、ごみが減ることだけではない。価値が地域の外へ流れ出ず、地域の中で次の仕事と所得に変わることにある。
貝殻が土壌改良材として畑に戻り、未利用魚が新しい加工品として商品棚に戻る。こうした小さな経路の積み重ねが、漁協・加工業者・農家・自治体の手元に、処理コストではなく収益として残っていく。
循環は、誰か一人だけが得をして成り立つものではない。出す側、加工する側、受け取る側、そのいずれもが無理なく続けられて初めて、経路は回り続ける。だからこそ7HGは、特定の誰かに負担を寄せず、関わる全員が立っていられる設計を前提に置く。
海の現場で出るものを「ごみ」と呼ぶか、「まだ価値の残る原料」と呼ぶか。その一語の違いが、海と地域に残る循環の入口になります。
7HGは、捨てられる手前に立つ関所として、出すところと活かすところを結び直し、価値が地域の中をめぐり続ける形を設計します。
What the sea returns, the gate keeps in motion. One gate at a time.
出典・注記
- 農林中金総合研究所「調査と情報」(2003年):家庭由来を除く水産系残渣の発生量を年間およそ386万トンとし、その約3割が飼・肥料へリサイクルされている旨の記述。本ページの「約380万トン」「約3割」はこれに基づく概数であり、年次により変動する。
- 水産加工残渣(魚アラ)の魚粉・魚油化、コラーゲン・キチンキトサン・貝殻資材・メタン発酵などの再資源化手法に関する一般的な業界情報。
- 消費者庁「食品ロス削減関係参考資料」ほか、食品ロス・未利用資源に関する公表資料。


