1. HOME
  2. ブログ
  3. BLOG
  4. 即時償却減税 重要な点について

BLOG

ブログ

BLOG

即時償却減税 重要な点について

Two ways to expense your investment, fast

「即時償却で節税」、ふたつの制度はどう違う?
中小企業経営強化税制大胆な投資促進税制

2026.06 公開 カテゴリ:再エネ制度 / 設備投資・税制 読了めやす:約7分

3行でわかる

  1. どちらも、設備投資の代金を買った年に一気に経費にできる(即時償却)、または税金から直接差し引ける(税額控除)節税制度です。
  2. 違いは「規模感」。少額〜数億円の設備なら中小企業経営強化税制、5億円以上の大型投資なら令和8年新設の大胆な投資促進税制が狙い目です。
  3. 新制度は建物本体まで対象になるのが目玉。ただし「ROI15%以上」「取得前に経産大臣の確認」など、ハードルも高めです。

01そもそも「即時償却」の何がうれしいの?

設備を買うと、ふつうはその代金を何年もかけて少しずつ経費にしていきます(これが減価償却)。即時償却は、その代金を買った年に全額まとめて経費にできる仕組みです。

たとえると 10年ローンで分けて払う予定だった「経費」を、初年度に前倒しでまとめて計上するイメージです。その年の利益(=税金がかかる金額)がぐっと圧縮されるので、納める法人税が減り、手元の資金に余裕が生まれます。早く回収できるぶん、次の投資にも回しやすくなります。

もう一つの選び方が税額控除です。これは経費ではなく、計算された税金そのものから一定割合を直接マイナスします。「いま大きく節税したい」なら即時償却、「トータルで税金を軽くしたい」なら税額控除、と目的で選びます。今回くらべる2つの制度は、どちらもこの「即時償却 or 税額控除」の選択ができる点で共通しています。

022つの制度を一言で

中小企業経営強化税制は、中小企業が機械やソフトなどを導入したときの“定番”の節税制度。平成29年から続く、使い慣れた制度です。一方の大胆な投資促進税制(正式名称:特定生産性向上設備等投資促進税制)は、令和8年度(2026年度)に新しくできた大型投資むけの制度。「日本国内で、稼ぐ力のある大規模投資をしてほしい」という政府のねらいから生まれました。

ざっくり住み分け 中小企業経営強化税制=ふだん使いの普通車大胆な投資促進税制=ここぞの大型トラック、というイメージ。日常的な設備更新は前者、工場新設や大型蓄電所のような“勝負どころ”の投資は後者、と考えると整理しやすいです。

03ざっくり比較

いちばん知りたい「どこがどう違うか」を一覧にしました。規模・対象・収益要件・建物の扱いに大きな差があります。

Table 12つの制度の早わかり比較
 中小企業経営強化税制大胆な投資促進税制(新設)
対象企業中小企業者等が中心全業種・大企業も中小も対象
投資の規模設備ごとの少額基準(数十万円〜)合計5億円以上(大企業は35億円以上)
収益の要件B類型でROIおおむね5%以上ROI 年平均15%以上の見込み
建物“本体”対象外(建物附属設備のみ)建物本体も対象
税のメリット即時償却 / 税額控除 7〜10%即時償却 / 税額控除 7%(建物等は4%)
認定する人経営力向上計画(主務大臣)経済産業大臣の確認
申請のタイミング原則は取得前(取得後60日以内の例外あり)必ず取得「前」に確認(事後申請は不可)

※ 税額控除率や要件は資本金規模・類型・年度によって変わります。新制度の細部は今後の政省令で確定する部分があります。

04いちばんの違いは「規模感」

両制度の関係は、ライバルというより守備範囲の違いです。下の図のように、投資金額の大きさで“出番”が分かれます。

Fig.1投資金額でみる、2制度の守備範囲(イメージ)

中小企業経営強化税制 少額〜数億円規模の設備 大胆な投資促進税制 対象外 大型投資が対象 中小5億/大企業35億〜 0 5億 35億円
中小企業経営強化税制の射程 大胆な投資促進税制の射程 その金額では対象外
※ 軸の間隔はわかりやすさを優先したイメージです。中小企業経営強化税制は「設備ごとの取得価額の下限」で判定し、投資総額の上限はありません。5億円前後では両制度が重なる場面もあります。

05新制度の目玉は「建物まで対象」

大胆な投資促進税制でいちばん注目されているのが、建物“本体”まで即時償却・税額控除の対象になる点です。従来の中小企業経営強化税制では、対象は機械・工具・器具備品・建物附属設備(電気設備や空調など)まで。建物そのものは入っていませんでした。

Table 2「建物」まわりの対象の違い
区分中小企業経営強化税制大胆な投資促進税制
機械・装置対象対象
建物附属設備対象対象(税額控除は4%)
建物本体・構築物対象外対象(税額控除は4%)

工場棟や大規模な施設をまるごと新設するような投資では、この差が効いてきます。ただし建物・建物附属設備・構築物を税額控除で使う場合の控除率は4%(機械等は7%)と低めに設定されている点には注意が必要です。

06申請の流れと「順番」の落とし穴

どちらの制度も「先に手続き、あとから取得」が原則です。とくに新制度は順番にきびしく、買ってからでは間に合いません。

Step 1
投資計画をつくる
設備の内容・資金調達・期待ROIなどを計画書にまとめます。
Step 2
事前確認を受ける
大胆な制度は経産大臣の確認、強化税制は工業会証明・経産局確認など。
Step 3
設備を取得・稼働
確認・認定を受けてから取得し、事業に使い始めます。
Step 4
税務申告で適用
必要書類を添えて申告し、即時償却 or 税額控除を受けます。

中小企業経営強化税制には「取得後60日以内に計画が受理されれば年度内認定でOK」という例外がありますが、大胆な投資促進税制は必ず取得前に確認が必要で、事後申請は認められません。スケジュール設計の難易度はこちらが高めです。

07いつまで使える? ―これまでの流れ

2017平成29年
中小企業経営強化税制がスタート。延長を重ねながら現在まで続く。
2025.12令和7年
令和8年度税制改正大綱で大胆な投資促進税制の創設が示される。
2026.04令和8年
改正で中小企業経営強化税制は令和10年3月末まで延長。器具備品の下限が40万円に、従業員400人超は対象外に(=いま、ここ)。
2029.03令和11年
大胆な投資促進税制は、この日までに経産大臣の確認を受けるのが条件(確認後5年以内に取得)。

大胆な投資促進税制は「集中投資期間」として令和11年3月末までの確認が区切りです。中小企業経営強化税制は令和10年3月末までが現時点の適用期限です。

08結局、どっちを選ぶ?

大まかな選び方はこうです。日常的な設備更新や数千万〜数億円規模の投資なら、使い慣れた中小企業経営強化税制5億円以上で、建物を含む大型かつ高収益(ROI15%以上)が見込める勝負どころの投資なら、大胆な投資促進税制が候補になります。

ただし両制度は同じ設備で重ねて使うことはできません。投資の規模・中身・収益見通し・スケジュールを並べて、どちらが有利かを早い段階で見極めることが大切です。とくに新制度は「取得前の確認」が絶対条件なので、計画段階からの逆算が欠かせません。

7HG からのひとこと

私たちが手がける系統用蓄電所や大規模太陽光は、まさに「数億円〜の設備投資」の世界です。だからこそ、どの税制をどう組み合わせるかで、プロジェクトの回収スピードは大きく変わります。

セブンヒルズゲートは、再エネ案件を「設備」だけでなく「制度・資金・回収」までひとつながりで設計します。新しい税制も、煽りの材料ではなく“前提条件”として冷静に読み解き、無理のない投資のかたちをご一緒に考えます。設備投資や案件のご相談は、お気軽にどうぞ。

出典・参考

  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」「同・概要」(2025年12月)
  • 経済産業省「大胆な投資促進税制(特定生産性向上設備等投資促進税制)について(周知資料)」
  • 中小企業庁「中小企業経営強化税制」関連ページ/「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き(令和8年度税制改正対応版)」
  • 国税庁 タックスアンサー No.5434「中小企業経営強化税制」
本記事は2026年6月時点で公表されている情報をもとに、一般向けにわかりやすく整理したものです。とくに大胆な投資促進税制(特定生産性向上設備等投資促進税制)は細部が今後の政省令等で確定・変更される可能性があります。税額控除率・要件・適用期限は資本金規模や類型・年度により異なります。個別の案件判断にあたっては、最新の公式情報および税理士など専門家への確認をおすすめします。
  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事